午前10時の映画祭
著者:康本
ファッションとは切っても切れない縁のある「映画」
特にクラシックなファッションとの結び付きは強く、自分自身も少なからず映画から影響を受けてきました。
ここ最近はなかなかゆっくり映画を観れていないのですが、いっときは「朝活」と称して、特に素晴らしい傑作娯楽映画を選び、全国の映画館で1年間にわたって連続上映する「午前十時の映画祭」、これを休日に観に行くことが日課となっていました。
「ショーシャンクの空に」
「LEON」
「ゴッドファーザー」
などなど、誰もが知る往年の名作をデジタルで蘇らせ、迫力の映像と音楽に没入出来る素晴らし過ぎるイベントでして、そんな中でも自分が特に大好きな往年の名作を簡単にご紹介させて頂きます。
「カリートの道 原題:Carlito's Way」
まずは何と言っても大好きな俳優アル・パチーノの映画は外せません。
マフィア・ギャング映画が大好きな僕としては「ゴッドファーザー」「スカーフェイス」も当然ながら外せない名作でして、成り上がる男の生き様は何度見ても興奮ものなのですが、「カリートの道」でアル・パチーノが演じるカリート・ブリガンテは仁義を重んじる元麻薬王、物語の始まりはなんと銃撃を受けて死にゆく回想シーンから。
そんな裏社会のカリスマは親友の弁護士クラインフェルドの協力のもと、たった5年の刑期を終えて出所するも、かつての仲間の裏切りや自らの老いを悟り、しがらみから抜け出し南国バハマでレンタカー屋を営むという夢を持ち、ディスコの経営で貯金をして街を出ようとします。
かつての恋人ゲイルともよりを戻し、新たな人生の幕開けか・・・
と思いきや、恩人であるクラインフェルドからマフィアのボスの脱獄を手伝って欲しいと頼まれてしまい、借りた恩義は返すという性格上、これを手伝ってしまうことになります。
出来るだけトラブルは回避して、ことを済ませてこれが終われば夢の生活、そんな理想とは逆方向に事態は進み、またもや裏社会のしがらみに巻き込まれ、うまく行きかけていた生活は急変していきます。
つまりスカーフェイスとは違い、一度裏社会で成り上がった男の第一線からのフェードアウトを描いているのですが、カリートもかつては極悪人・・・
因果応報、かつての悪事を簡単に清算することなんてできないよ。神が上空からそんな言葉を囁いているかのようなのですが、不器用ながら変わろうとするカリートには否が応でも感情移入してしまいます・・・
見所は沢山ありますが、個人的には今まで観た映画の中でラストシーンからエンディングへの流れが一番美しい映画でした。
JOE COCKERのYou Are So Beautifulはスクリーンで聴く事が出来れば鳥肌ものです。
全てがハッピーエンドという訳ではないのですが、観賞後はきっと心が満たされていることでしょう。
「アンタッチャブル 原題:The Untouchables」
同じくマフィア・ギャング映画の名作である「アンタッチャブル」は先ほどの「カリートの道」と同じくブライアン・デ・パルマ監督の作品なのです。
ケビン・コスナー
ショーン・コネリー
アンディ・ガルシア
ロバート・デ・ニーロ
といった錚々たる顔ぶれを見るだけで、ハズレなはずがないと確信出来ます。
それに加えて衣装提供はジョルジオアルマーニ、男が観て面白くないわけがない要素がたっぷり詰まっています。
舞台は禁酒法時代、ケビン・コスナー演じるライオット・ネスは財務省の捜査官であり、密造酒の販売事業を中心に悪事の限りを尽くすロバート・デ・ニーロ演じるシカゴのギャング、アル・カポネを逮捕へと追い詰めていく。
というのが話の大筋です。
アル・カポネ=ギャング、なんとなくその名を耳にしたことがある方も多いかと思いますが、アンタッチャブルでは実在した人物をフィクションを交えてストーリーを構成しており、アル・カポネはもちろんライオット・ネスも実在した人物だそうです。
映画自体が面白いのは当然なのですが、ローマの作曲家エンニオ・モリコーネの手掛けるサウンドトラックが本当に素晴らしいです。
緊迫するシーンで流れるあのピリッとしたBGM・・・
これは是非スクリーンで体感して頂きたいです。
(気になる方はアンタッチャブル エンニオモリコーネで検索してみてください)
他にも「ワンスアポンアタイムインアメリカ」や「ニューシネマパラダイス」といった名作の音楽も手掛ける天才でして、そのどれもが作品のイメージを完璧に投影した身に沁みる音楽なんです。
先述カリートの道のクライマックスの銃撃戦とアンタッチャブルのクライマックスがよく似ているのですが、これは予算の都合で見送られたアンタッチャブルのクライマックスシーンをカリートの道で応用しているそうです。
そして個人的にかなり印象深く残っているシーンはと言いますと、ビリー・ドラゴ演じるアル・カポネの腹心フランク・ニッティのカッコ良さなんです。
終盤、エリオット・ネスと攻防を繰り広げるのですが、登場シーンはそれほど多くありません。
それでも強烈な印象だったのは、このフランク・ニッティが作中の誰よりも目立つ白のスリーピースに白のパナマハットという出立ちだったからです。
“悪そうなアラン・ドロン”という例えが正しいかは分かりませんが、とにかくそのクールなルックスが強烈なイメージでした。
「太陽がいっぱい 原題:Plein Soleil」
夏を迎えると必ず観たくなるのが「太陽がいっぱい」
アラン・ドロン主演の1960年に製作されたフランス映画なのですが、この映画がアラン・ドロンの出世作と言われています。
メンズファッションのアイコンの1人であるアラン・ドロンのファッションを存分に楽しめる映画ということで自分もすぐさま観てみたのですが、これがまぁカッコいい。
散々色んなメディアで書かれていますので、もしこのfukuonseiで初めて知ったという方々は是非とも「物書き」を本業とされているプロの記事を是非読んでみてください(笑)
特にTHE RAKEのアラン・ドロンに関する記事はその情景が浮かんでくるかのような言い回しや細かな知識が詰まっており、非常にオススメです。
ローマやナポリといった美しいイタリアが舞台となっており、話の内容としてはサスペンスでして、アラン・ドロン演じるアメリカの貧しい少年トム・リプリーと、アメリカ人大富豪の息子フィリップ、フィリップの婚約者であるパリ娘のマルジュを中心に物語は展開していきます。
マルジュと過ごすためにイタリアへやってきて豪遊するフィリップ、フィリップの父親の命を受けてフィリップをアメリカに連れ戻しにきたトム、2人は幼馴染という間柄ですが「大富豪の息子」と「貧しい少年」、2人のパワーバランスは火を見るよりも明らかでして、フィリップはことあるごとにトムを罵り、使いっパシりのように扱います。
フィリップは所有するボートでマルジュと2人きりになろうと、トムを小舟で炎天下の海に切り離したりと非道を繰り返し、当然トムの心中はフィリップへの憎悪でいっぱいです。
連れ戻しに来たつもりがあろうことか、フィリップの財産を全て奪うべく殺害を計画し、遂には船上で殺害してしまうのです。
トムは物理的に財産を奪うだけでなく、トムという名を捨て大富豪の息子フィリップとして生きていくことを決心します。
フィリップの筆跡を何度もなぞりコピーするシーンは有名ですよね。
財産、上質な服、そしてフィリップの婚約者マルジュをも手に入れ順風満帆かと思いきや・・・
続きはご興味ございましたら是非ご覧下さいませ。
圧倒的ビジュアルを誇るアラン・ドロン、何を着ても様になってしまう色男なのは間違い無いのですが個人的に「うわ、カッコよすぎだろ!!」となったシーンが・・・
「フィリップに邪険にされているトムが隣室のクローゼットからフィリップのワードローブを勝手に身につけ、鏡に向かって髪をコームで整えながらフィリップの口調を小バカにするような物真似をしている時のいかにもアメリカのお坊ちゃんらしいストライプジャケットのスタイル」
他にも、
「ラストシーンのビーチで焼けた肌にスイムウェア、ゴールドのネックレスにネイビーのパイルジャケット」
「白シャツにグレーのトラウザーズで街を闊歩する姿」
ファッション好きにとっては特に見どころ満載の映画です。
これまた音楽も最高でして、オープニングを思い出しただけで鳥肌が・・・
現代の映画の映像美も魅力ですが、往年のムービースターの演技力、古いからこそ良さを感じる音楽、是非午前10時の映画祭を活用して往年の名作をスクリーンで堪能してみてください。
他にも、
「スティング」
「セントオブウーマン」
「華麗なる賭け」
などなど、オススメは沢山ありますのでまた機会があればご紹介致します!
逆に皆様からオススメの名作があれば教えてください!!
ring fukuonsei